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2015/11/06

バリカーデ台本(途中まで)


👇ここからバリカーデのパーフェクト音源を聴くことができますhttps://www.mixcloud.com/kool4plus1/barrikade-19871108-sun/     

      BRIKADE       バリカーデ  東京グランギニョル

*キャストのセリフや配役の名前など多少の間違いもあります。また聞き取れない部分のセリフは飛ばされていますがご了承ください。
     音響などの題名も未明なので解れば記入することにします。

場所は廃墟になった倉庫跡である。
床全体コンクリート、天井が高く鉄骨が剥き出しになっている。
舞台アートは故三上晴子嬢と飴屋法水、
そしてグランギニョルのメンバーが時間をかけてコツコツ作り上げたものだ。
プラスチックやハリボテなどは一切使わない、コンクリートや鉄などの廃材を使い作り上げた本物のアートだ。
少し肌寒い。
前方の客には水が飛ぶのでビニールシートをかけてもらっている。
初回はビニールシートが無かったのでモロに水を浴びてしまった客も少なくはない。
私も水を浴びてしまった1人で、持って行ったテープレコーダーが濡れて壊れた。
会場が肌寒い上、水浸しでの観劇は辛いものがあったのでビニールシートが配られた時は嬉しかった。

突然、Einstürzende NeubautenのSeele Brenntの曲と共に始まる。

      白衣を着た常川博行氏が曲の合間に一言づつ叫ぶ。
「君の未来!………、君の才能!………。それが秒単位でただれていく………。イフ・ネプト・マ〜イシン………、10・ミリ・グラ〜ム」

Einstürzende Neubauten_Seele Brennt



客席の一番後ろの高い位置に常川博行氏と、小さな箱の様なトロッコに石川成俊が載っている。
その箱の下にはレールがあり、客席前方の舞台(というよりコンクリートの床に、コンクリートや鉄クズでで作られた水の入った池)に繋がっている。
いきなりトロッコは物凄いスピードで落ちて行き石川成俊氏は宙を舞って池の中へ落ちる。
そこにはすでに同じ様に落とされた男達が何人もいた。

(私事だが、実はこの日、私は小型のテープレコーダーを持ち込み録音していた。もちろん席は前列の少し左寄りに座っていた。石川成俊さんがトロッコから池に落ちた時、かなり多い水しぶきが前列の客にかかった。私も結構濡れてしまい、室内が寒く観劇中ずっと手が凍えていたのを思い出 す。次からはいちばん前の客にはビニールシートを掛けてくれるようになったが、おかげでテープレコーダーがブッ壊れーションで最初の部分だけしか録音できませんでした😔)                              

成俊は出口を探そうとするが皆、出口は無い、探しても無駄だ、自分達もさんざん探して見つける事は出来なかったと言うがそれでも成俊は「そんなはずは無い、どこかに出口があるはずだよ」と言い探し回る。
が、「ダメだ、どこにも……どこにも……」
田口「だから言ったでしょう」

田口が池の水をすくってみる。
宗介「よしなよ、そんな水飲めやしないよ」
田口「そんなことわかってますよ。」
嶋田はその水がなぜ飲めないのか、自分の部署で扱っている薬品がここまで流れ込んでいるのだと説明する。
宗介「要するに、結局飲めないと言うことだろうが」
嶋田「ああ、そうだよ」
宗介「だったら勿体ぶるんじゃねえよ!」
田口「ちょっと待ってくださいよ!飲めるとか飲めないとか、なんかオカシイですよ。まるで、ここにいるのが当たり前みたいな!」
嶋田「田口さん、僕は第5薬品の嶋田と言います………。田口さん‼︎ 誰も当たり前なんて思っていませんよ。我々がここにこうしているという事は事実です。」と言い終わったと共に突然、上から池の中に幾つもの大きなカプセルが落ちて来る。皆「なんだ、何なんだ⁈」とうろたえるが、嶋田はカプセルを拾い上げ、中の液体に口をつける。
長い間…………嶋田、前方を見据え口を開く。「水だ!」

田口笑い出す。「そうか、そういうことか。あいつら俺たちの事をどこかで見てやがんだ。」そして皆が怒り出し叫ぶ。
「こんな水飲むもんかよー」「やめて下さい勿体ない」「冗談じゃねええー!」
突然、ノイバウテンの曲と共に、成俊だけを除いて、全員頭を抱え、激しい頭痛に苦しみ転げまわる。
そして成俊も自分も同じ苦しみが来るならいっその事、「来るなら早く、は、はやく、、はや、早く、早く、は、はや、はや、早ーーく‼︎‼︎‼︎‼︎」Einstürzende Neubauten のHalber Menschが流れる。
そして成俊も激しい頭痛の苦しみにもがき転げ暴れ叫ぶ!

Einstürzende Neubauten (Halber Mensch 1985) 



 再び常川博行氏の声。
「君の才能、君の未来。それが秒単位でただれている。安心したまえ、痛みは無い。イフ・ネプト・マーイシン、10ミリ・グラーム」
そして突然、最初の成俊と同様に上野が落ちて来る。
上野は知り合いの棚橋が倒れているのを見つける。
「おい!棚橋!シッカリしてくれよ。おい起きろよ。棚橋、シッカリしろよ!」
棚橋目を覚ます。
「う、上野? うわー!オレ、生きてる、生きてるよ!」
上野「おい、何があったんだよ。」
棚橋「お、オレ、落ちてきて、出口なくて、水が落ちてきて、そしたらみんなが、頭が頭が割れそうで、俺がXXXになって、XXXになって、XXXXX、ちきしょう、ちきしょう、ちきしょうー‼︎」
上野「何があったのかサッパリわかんねー」
棚橋「あの薬のせいだと思うんだ」
上野「なにそれ」
棚橋「ほら、イフネプト何とかっていうやつだよ、お前もあいつらに落とされてここに来たんだろう?注射打たれただろ?」

上野「いや」棚橋「みんなされたんだぜ」
上野「いや、そんなこと言ったって、あ!アレだ!オレって脳が少しバカになってるだろ?こいつに薬打ったって効かないんじゃないのなんて思ったんじゃないの?ははははは」
徐々に周りが目を覚まし始める。
棚橋「おい、しっかりしろ、おい!おい!」田口が目を覚ます。
田口「今のはなんだったんだろう。おれ、脳みそがどうかしちゃって、吹っ飛んじまったぜ。」
「やっぱりオレ達、ラットにされてんだよ。」
棚橋「この人達も起こした方がいいかな」「どっちだっていいさ」
棚橋「一応起こすよ、おい起きろよ」そして、皆が目を覚まし新入りに気づく。
棚橋「こいつ、俺の同僚で上野って言うんだよ。だからこいつもここに捨てられて…」
上野「あのー話聞いてて思ったんですけどお〜、僕がここに落とされたのは〜頭がポンコツだからと思うんですよね。だからポンコツだから捨てられてもしょうがないかななんて」
宗介「なんだコノヤロ」
上野「ポンコツにはこういう所が向いてると会社側はこう判断したわけですよ。そう思ってみると、ここもなかなか良いところじゃ無いかな〜なんて」
田口「あんた何言ってんだよ」 
上野「だって出られないんでしょう?それに水くれるらしいし、だったら仕事してるよりここにいる方がいいな」
田口「あんたね、あんたまだ頭痛来てないからそういうこと言えるんですよ」
棚橋「そのことだけどね、だから…こいつだけ、こいつだけ薬打たれて…ない…みたいなんだけど…」
石川「おい、こいつ会社の回しもんなんじゃないか⁉︎」 
棚橋「そんなことないよ!バカなだけだよ!」
上野「ちょっと聞いてよ。いい?あのねオレ、廃墟に住みついた人の話聞いたことあるんだ。
廃墟って野生動物みたく草の根っことか幼虫とか食べて暮らしてるんだってさ。なんか原始と未来との融合とか言っちゃってさ、鉄の錆びとか、粉々になったコンクリートとか食べたりしてるんだってさ。だからオレ達もここに住めると思うんだよね。ほら、これなんかシャブったら美味しそうじゃない。ハハハハハハハハ」


(注・上野仁は実際もこういったアートが好きで、アインシュツルツェンデノイバウテンの熱狂的なファンでした) 

嶋田「本当のバカですね」
上野「ここだってさ、居心地良さそうな所じゃない、棚橋だってそう思うだろ?」 
棚橋「…そうかもしれない……」
嶋田「ちょっと待って!いませんよ…田口さん」
皆で田口を探し始める。「田口さん、田口さ〜〜ん」
石川「もしかして、あの人自分だけ出口探して出て行ったんじゃ…」
皆それに気づきますます必死に田口を探す。
「田口ー!田口ー!おーい、おーい、返事しろよーー」
そこで誰かが何かを見つける。
宗介「どうした?いたのかよ」
「死んでる…田口さん死んでます」
舞台左の段の中断で仰向けになり鼻もしくは口から血を流して死んでいる田口。
皆、田口の所へ集まってくる。全員ショックでボーゼンとする。

この頃からドンドンという音楽がずっと流れ始める。

宗介?「このザマだよ。おい!お偉いさん達よぉ、俺たち、どうしたらいいんだよ、なあ教えてくれよ。頼みますよ、俺たちの頭じゃいくら考えても答えが出ないんですよ。あんたら毎日小難しい事いじくり回してたんだろ?何とかなるよな?おい!なんとかいってくれよーー‼︎‼︎」と叫びながらシクシクと泣き始める。

                                                                           斉藤宗介さん

棚橋?「あの〜」
宗介 「なんだよ!」
棚橋「なんか音がして…」
宗介 「だから何のおとだよ!」と怒鳴ったが 棚橋が怖じけたので 優しく「何の音か話してみな」
棚橋   客席から見て右の方を指差し 「あそこ…コンクリートが剥げてトタンが覗いてますよね。最初みんなで出口を探した時に気が付いたんですけど、もしかしたらそこ、向こうが空洞になってるんじゃ…叩いた時に音で判りますよね? もしかしたら向こうが通風口とか下水道とか………」

すると皆が壁に向かって行き確認しだす。

成俊 「あー!本当だー‼︎」
宗介 「なんで今まで黙ってたんだよ‼︎ おい!鉄でも何でも叩くもん持ってこい‼︎」

そして皆が壁を思いっきり叩き出し、金属を打ちつける激しい音が響く。しかし壁はビクともしない。

その時、嶋田が「どけ」と皆の間に割り込んできて、不気味な声を上げながらドアを開けようと力を込めた。
すると壁に隙間が開き、皆が「おーー開いたーーー!」
と喜ぶのもつかの間、大きな鉄板のドアは突然前に倒れ、そこには白衣を着た常川氏が立っていた。

自意識過剰で自己顕示欲の強いで自己中な常川は、この製薬会社研究所の独裁者であり、ネズミでは満足出来ず、その辺の人間をマウスに実験を楽しむ。ふと、大人になったゼラを想像した。

常川 「おや? 逃げ足が早いねウロキ君。おやおや貴重な水を粗末に扱っちゃ………( 怒鳴る) 困るね‼︎‼︎」
成俊? 「きさま、なぜ、なぜ俺たちをこんな目に合わせるんだ」
宗介? 「あの薬は何だ。あの薬の実験なのか? なあ、そうだろう!」
成俊 「 これが人体実験なら失敗だ、完全な失敗だ!強烈な頭痛、目眩、吐き気、悪寒、耳鳴り、幻覚作用。あんな思いをするなら死んだ方がマシだ!」
常川 「でも君は生きている」
成俊 「あんな薬で何を治そうっていうんだ!」
常川「君のような人間」
??「いい加減なことを言うな!貴様のしていることは拷問と何も変わりはしないじゃないか‼︎」
常川 「なるほど、拷問と言えるかも知れないね。しかしもしこれが拷問だとしたら、一滴も血を流さないんだから、とびっきり洗練された清潔な拷問だね」
成俊 「洗練されたぁ〜? 田口は死んだぞ!」
常川 「君たち無音の拷問室って言うのを知ってるかい? 君は知ってるかい?」
?? 「知るわけないさ。毎日穴ばかり掘ってたんだからね」皆から笑い声が上がる。
常川 「その拷問室はね、ただ音がしないだけなんだ」
その時 ズーーーーンという音響が入る

常川 「わかるかい? その無音の中に置かれた人間が真っ先に発見するのは自分の呼吸、体内に脈打つ血液の音なんだ。そして次には心臓をはじめとする体内の器官が発する音を発見してね、やがてそれは激しい騒音として彼の鼓膜に付き纏い始める。そして最後にはどうなると思う? 自分の脳の中枢からその音を消す機能を発見してね、いつかそれを停止することに成功する。その時彼の思考回路の中にはそれが死を意味するなんてことは無くなっちゃってるんだよね。そして後悔や動揺とは無縁にしっかり死んでいくんだよ。あの田口のようにね。おい! 田口を運べ」 と助手に命令する。

成俊 「俺は、俺は違うぞー!」
常川 「そーかねぇ。いや、そうだといいねぇ。ははははは、いやあ、そうだといいなぁ」
成俊 「ちくしょ〜!」

* 記憶にはないが、この瞬間何かが起こり、全員が眠ってしまう。
シーンとし、呼吸のような音響が入る。

常川「しばしの休息をとりたまえ。もう眠りの中で悪夢にうなされる事はない。ぐっすり寝て体力、精神力を回復させたまえ。そして10年間の眠りから目覚めたらまたお目にかかろう。その時君達を待っているのは悪夢ではなく、現実だ‼︎‼︎」

金属を叩くような音がしばらく続き消える。

〜これから10分間の休憩に入ります、と常川氏〜

スカンジナビア系のような音楽が始まり突然止む。
上野と常川とその助手たち、たくさんの大きな薬のカプセルがある。

上野 「すご〜く、えーと、まだ早い時間。つまり朝方かな〜。そう、仕事が終わった朝早くだ。すご〜く広い所で、えーと鳥がいっぱいの鳴いてて、その鳥っていうのがつまりカラスなんだ。だって真っ黒でカーカーカーカー鳴いてたから、あれは絶対カラスだよ。そう、すっごい大きいカラスで、それがえーっと30匹!いやもっといたな。100匹ぐらいかな。それでさ、ほら口にエサをくわえてて、そのエサっていうのが薬のカプセルなんだよ。それで口で薬の大きなカプセルくわえてね、カーカーカーカー鳴きながらカプセルをぜ〜〜んぶ持ってっちゃったんだよ。もしかしたらあれ、僕が一生懸命掘った薬かも知れないのにあいつらさぜーんぜん考えなくてバカみたいにカーカーカーカー鳴いてて。でもオレここにいて安心したよ。だってあいつさ、その薬のカプセルぜーんぶさ、ほらここに運んでたんだもんね。ほーら、ほらね」

上野仁さんはアインシュツルツェンデノイバウテンが大好き❤
この舞台セットもノイバウテン調なのでとても居心地が良いと言う。
常川「そりゃ夢か」
上野 「違うよ やだな、本当の話だよ。だいいちさ、オレいままでいっちども夢見たことないの」
皆爆笑する
上野 「ほんとだよ!ほんとだってば!」
常川「わかったわかった。しかしね上野くん、そのカプセルはカラスが運んできたんじゃなくて最初からここにあったんだ」
上野 「へーなーんだ、そうか、でもね、まあ、そんなことどっちだっていいんだよね。とにかく、ここにありさえすればいいんだよ。(笑)これ大きくていいよね(笑)オレこんなの欲しかったの」
常川 「そんなに気に入ったんならそれ、みんな君のもんにして構わないよ」
上野 「えーー!ほんとに?」

そして上野、棚橋を見つけて起こそうとする。

上野 「おーい、棚橋!おい、おい!」
常川 「ダメだよ、いくら呼んでもみんなには聞こえてないよ」
上野 「ね、もういいでしょ。あの頭に乗せてるへんなやつ取っても」
常川 「ダメだ、まだダメだ。彼らが君に追いつくまで」
上野 「どういうことよ」
常川 「つまり彼らより君の方が優れているということだよ」
上野 「へへへ  そりゃーおかしいよ。オレなんか全然バカだって言われてるし、仕事場ではいっつも怒られてばっかしだし、みんなからボケとか言われてるし」
常川 「それで?」
上野 「いや、だから、オレだって褒められればそりゃあ嬉しいけど……変だよ、気持ち悪いよ………あの変な〜は何してるんだよ」
常川 「膿を吸い出してるんだよ」
上野 「ウミ? ね、膿ってどういうこと?」
常川 「例えば これ(これと言うものがどんな物だってか記憶に定かではありません)と彼らの区別しているところの何か」
上野 「な、何って、そんなの違うに決まってるじゃない。ははははは」
常川 「そろそろいこうか」
上野 「おい、そろそろいくってさ」
常川「まず、左から順にいこう」

ドーンという音楽が入る

常川 「おーきーろ!」








                                       
            三上晴子さん(左) と 飴屋法水さん(右)


   三上晴子さんがデザインしたアインシュツルツェンデノイバウテンのシンボルマーク


2015/09/10

M.M.M. SKIN (元東京グランギニョル)


【資料提供】 
                         http://dark-carnival.jimdo.com


                   M.M.M. SKIN   
                                            下の方にコメント欄があります。ご意見、ご感想、コメントお願いします。

          東京グラン・ギニョルはバリカーデ公演の数年後、M.M.Mとして"SKIN"と言う芝居を上演した。



廃墟工場のような秘密基地で、「死」を考察する5人の少年、リカ、ルー、ボブ、ネンド、ヨハネ。
そこに大学教授であったリカの父親・シマダ教授の突然の訃報が届く。
生物学者である父は、実験中の事故で死んだと云われる。


教授の骨壺の中にはフロッピーデスクが入っており、それを解読した少年たちは教授の生死を確認するためテン研究所へ赴いた。


父親の死を信じられず、どこかでまだ生きているはずだと切望する少年の前に現れたのは、
…はい。嶋田マシーンですよ。パパですよ。
研究者・テンに紹介されたマシーンを父親と呼べるのか、機械の父と、父の実験の結果である異形の男達を前に、人間とは、存在とは、生物学的な存在と人間の存在の違いは何か、最終的に少年達の起こした行動は。




戸惑う少年たちの前に現れたのは、奇っ怪な姿をしたホセとドロシーと言う名の男。
彼らはシマダ教授に人造人間にされた恨みと、その復讐を叫ぶ。少年たちとホセ・ドロシー、そしてマシーンとの大乱闘。人間の生死の境とは?人間と人間ではないものの境とは?

↑ドロシーはガスマスクの様な物を装着し、口元から垂れ下がった犬の肛門を取り付けられたチューブがうごめいている。


ホセ(斉藤聡介氏)は眼帯をし、片手が人工筋肉、身体は人工内臓が全て露出し、口の悪いサディスティックな血飛沫を浴びニヤリと笑う役柄。


 文: 庄司トオル  (東京都港区)

長らくSKINを上演した集団M.M.M.が何の略か色々と思いを巡らせてきた。男性ばかりなのでジェームズ・ブラウンのイッツ・マンズ・マンズ・マンズ・ワールドと、鉄が出てくるのでルー・リードのメタル・マシーン・ミュージックをかけたのか、とか。WWWをひっくり反したのか、とか。

実は最近、80年代のあるノイズのLPを入手して、あっと思った。ザ・ハフラー・トリオとルチアーノ・ダリなるナポリのレーベル・オーナーのカップリング・アルバム。そのルチアーノ・ダリの面の一曲が、SKIN(VIDEO MIX)の中でサンプリングされている。使われているシーンは、嶋田教授のお骨と遺影が届けられる場。ビー、ビー、という断続音に続いて、坂本龍一氏のようなヒャラ〜、という冷たい音楽が流れる。まさに静的なシーンのギニョルを象徴する音色。戯曲ではハフラー・トリオの曲と書かれていたが、実際は、B面のルチアーノ・ダリのVirikutaであった。

 このルチアーノ・ダリのVirikuta、なかなかいい音色で、この坂本龍一的ヒャラ〜に入る前にグルグルグルという虎の唸りのような、機械のもっさりした駆動音のようなものが流れているが、これも切り取られて、飴屋さん演じるテンと、ついで嶋田“マシーン”教授の登場時に使われている。

それがM.M.M.の略と何の関係があるかというと、実はこのLPの発売元、つまりレーベル名が、Musica Maxima Magneticaなのである。そしてそのオーナーがルチアーノ・ダリ氏。ムジカ・マキシマ・マグネティカ。かっこいい。と、これはあくまでも個人的推測だけど。

 ちなみにSKINの大阪公演に行った友人によると、パンコウのギミーモアとクロックDVAのハッカーがかかったそうだ。ビデオ版にはなかったのでユーグンあたりに差し替わったのかも。


     PANKOW - GIMME MORE  1988  

   



             Clock DVA - The Hacker 



さらに、このパンコウをリミックスしたエイドリアン・シャーウッドは、ノイバウテンのユーグンもリミックスしている。SKINのVIDEO MIXで使われているのは、回転数を落としてボーカルを抜いたものに、さらに手が加わっている。


Einstürzende Neubauten - Yu-Gung (Adrian Sherwood Mix)


16年前にギリシャに行った時、街中にノイバウテンのツアーポスターが貼られていた。至るところ工事中のようなアテネの街にマッチしていて凄く格好良かった。思えばそこからさらに遡ること15年前、高校の生徒会室で初めて聴いて衝撃を受けたノイバウテン。これまで一度も肉眼で観たことがなかった。


●庄司トオル  (東京都港区) Twitter @ToruShoji 
大阪芸術大学映像学科卒。在学中にパスピエ結成。大阪、京都で4本の演劇作品を発表。(2本は笹千丸名義)。東京の広告代理店にてコピーライター、プランナー、クリエイティブ・ディレクター、企画開発室室長を経て、2013年、サーヴィス アンド コネクションズ結成。2015年、Betsujin プロジェクトを準備中。




  












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ホセ役の斉藤聡介氏の2009年のブログから  http://brristol.exblog.jp/i5/
ここのところ、ずっと頭に住み着いている写真たち。「懐かしい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、懐古したくなっているのではなく、只今、現在進行形なのです。思いっきり。思いっきり(クドい)。


紙焼きがなかったので、『an-an』(うひゃー?)と『Hanako』(うひゃー??)をすきゃなでとってみました。M.M.M『SKIN DEPART-MIX』告知。うわ〜…

『SKIN#5 VIDEOMIX』capture[1]  
2009年 04月 26日
せっかく,ゆんじさんがDVD化して下さった記念に,何とか残っていた映像から,例によって?きゃぷちゃしてみました(特技:きゃぷちゃ).またもや,どえらく久しぶりのきゃぷちゃですが(笑).



島野義孝氏による映像の『SKIN#3 246MIX』(1989年6月3〜21日,青山246CLUBにて上演)から.写真もありますが,ネガがMacの壁に阻まれ,すぐに発掘出来ないので.

何とまあ,今年で上演から20年目なのですねぇ!時間が経つのは本当に夙いですね.でも,20年前の映像と云う気が全くしません.何故でしょうねえ??何ら今現在との違和感がないのですが.

【追記】この『SKIN#3 246MIX』について,ご存知ない方の為に
上演:1989年6月3日(土)〜18日(日)←フライヤーでの日付
出演:M.M.M+Q'SAKU SHIMADA 演出:飴屋法水 脚本:飴屋法水+大橋二郎
美術:M.M.M 音響:浜里堅太郎+飴屋法水 衣装:田口貴朗

ちなみにチケットは3,000円.連日稼働率100%を超えていました.斉藤聡介は「ホセ」で出演.見事な鬼ゾリ.

2009年 / 斉藤聡介氏のブログより
       ドイツ軍のブーツ      東京グランギニョルのバリカーデの時に履いた靴

ようやくマシン環境復旧.我慢と忍耐の5日間(笑).途端に巨大な縦画像を貼る軽薄ぶり.ケータイ実験も大変興味深かったのですが.それにしても,デてえよ.
デカい画像ですねえ…と云う訳で,この古〜い年季の入ったブーツ.最早,がちがちです.ドイツ軍の放出品.
まだ保存されていたのですが,どうやら物置内でネズミの邸宅になっていたようです.お〜っぢごっヨカかざがしそうですね.ゲネプロの際,このブーツで水に入った処,脱げなくなったらしいです.田口くん,ありがとう」斉藤聡介


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                                        暗黒藝術カルナバルについて
【記事】 暗黒藝術研究会が個展 大阪日本橋に見世物小屋が!? 
               2015年09月09日
暗黒芸術研究会関西大学の暗黒藝術研究会が「暗黒藝術カルナバル」と題した初の個展を、大阪・日本橋のスナバ・ギャラリーで9月5日から9日まで開いた。関大のアングラシーンを一手に担う同団体は、2013年4月に荊冠きざき(けいかん・きざき、21=文3)さんが旗揚げ。サークル3年間の集大成を、サブカルの聖地から発信した。【写真・テント芝居のような内装にこだわった暗黒藝術研究会の個展。右は会長の荊冠きざきさん】

電気街の裏通りで、妖艶な光を放っていた。1階は唐十郎の紅テントをほうふつとさせる「闇黒(あんこく)テント」が、ギャラリー内の展示物を外から隠す。2階は寺山修司の天井桟敷を意識した「暗天桟敷」。公演や上映会が連日開かれ、サーカス…いや、見世物小屋のような雰囲気を醸し出した。

絵師・東學さんのライブペイントや、体現集団天憑(てんつく)のパフォーマンスが行われたほか、写真作家の中村趫さんや人形作家の夏目英璃さん、作家のいちこみるぐさんの展示も。アングラ界で妖しげに輝くキラ星のような面々が、暗黒藝術研究会の活動に共鳴する。

新入生歓迎行事や閉鎖直前の天六キャンパスなどでも、様々な伝説を残してきた暗黒藝術研究会。何を感じ、何を伝えようとしてきたのか。荊冠さんは「今までの活動を振り返り、研究をまとめられて発信できる個展を開きたかった。アングラを知らない人でも、こういうのもあるんだ、ということを知って欲しい」と、5日間の奇祭で思いを体現した。

アングラ演劇全盛期の60年代に心酔する異能の関大生。「ハプニングがやりたい。いまの若者に、60年代表現は受け入れられるのか気になっています」と、荊冠さんは視線を前に向ける。演者と観客の境界線をなくし、街や大学内も舞台にしてしまうハプニング劇。暗黒藝術研究会が、千里山キャンパスの情緒を不安定にさせる。

                                

2015/08/13

ワルプルギス★東京グランギニョル+三上晴子

     
                                                   下の方にコメント欄があります。ご意見、ご感想、コメントお願いします。

東京グランギニョル・ワルプルギスは、ライチ光クラブの後の作品。以前は、飴屋法水氏が舞台アートをしていたが、今回アーティストの三上晴子嬢と舞台美術を作り上げた。
三上晴子の作る 冷たい鉄や金属、コンクリートと、少年達の熱い血潮のギャップが心地いい。
越美晴の少年の様な容姿、少女から成長していない声と、純粋な心の青年ワルプルギスのやり取りは劇の中から四角く切り取った絵画の様に美しく、全てが完璧なアートだった。

                                                        



      ワルプルギス( あらすじ )


舞台には棺が4つ立って並び中には屍体が入っている。
フロックコートを着て、ステッキを持った紳士(嶋田久作)ナタデ・ココと、二人の中国人。
1人の中国人は理解不能な中国語もどきで喋りまくり、意味がわからないので下男がココに通訳をする。
ココは4体の屍体を確認し、若い20代の若造の屍体を選んで買う。
屍体にワルプルギスと名付け、ステッキで屍体を叩きながら「お前と私は!…このようにして出会い!
…このようにして!…始まるのだ!」とステッキを思いっきり振り下ろす。




舞台全面に少年達がビーカーを顔の高さまで持ち、中を見ている。
中にはハツカネズミが1匹づつ入っている。真っ暗な中、少年達の顔ばかりが浮かんで見える。
少年達は言う。「1986年…」「クラブワルプルギスの地下…」「室でこの実験が始まった。」
「死んだネズミがこうしてまた動き出した。」「壊れた機械も修理すればまた動く。」「そう!」
「テクニックがあれば…」「そしてそいつがまた息を吹き返す」
「何も知らず、クラブで踊るガキの足音が聞こえる」
    突然大音響のデッド・オア・アライブの曲。


少年達はドイツ語でカウントダウンする。
ノイツェン…アーツェン…ジプツェン…ゼヒツェン…フュンフツェン…ドライツェン…ツベルク…エルフ…
ツェーン…ノイン…アハト…ジーベン!…ゼクス!…フュンフ!フィーア!ドライ‼︎ ツバイ‼︎ アインス!!!
6人いっせいにしゃがむ。大きな鉄製の棺が横たわっている。棺には"WALPURGIS"の文字。
ココが杖を振り上げてポーズをとっている。 〜暗転〜

明りが入る。6人の姿は消えている。ココが棺に杖を振り下ろす。
棺の蓋がググッと持ち上がり開きワルプルギスが目を覚まし起き上がる。
「あんた、だれ?」とワルプルギス。
ココは言う「お前のパパだよ。お前は吸血鬼だ、昔を思い出すのはやめたまえ。お前の体は寄せ集めだ。
君の大脳も眼球も皆、君を裏切るだろうから」

ココはワルプルギスにリンゴをかじらせるが、体が受け付けないので直ぐに吐き出す。
「お前が飲んでうまいと感じる液体は血液だけだ。だって私がそういう風に作ったんだも〜ん」
    とオチャメなココ。






          ↑リタ こと 矢車 剣之介


そんな時、誰かが地下室に降りてきたのでワルプルギスとココは隠れる。
2人の少年がハシゴにへばり付いたまま、恐る恐るジッポに火を点けて中を覗いている。
名前はナル(石川成俊)とヨーカン(上野 仁)。ナルはこの近くでセムシ男とチュチュを身に付けた変な奴らを
見たので探しに来たと言う。



突然その時、鉄の扉がガシャーン!と大きな音を立てて開き、ナルの話していたチュチュがセムシ男を
鞭で叩き大騒ぎしながら、一瞬のうちに通り過ぎてゆく。ヨーカンとナルは腰を抜かしたまま
ポカーンと呆気にとられていた。


その時、また誰かが来る気配に2人は隠れようとするが、ヨーカンはロウソクを取りに行こうとして
見つかってしまう。そしてワルプルギスの最初の餌食(ディナー)に……
ワルプルギスはお腹いっぱいで眠くなって棺に戻り、ココは去る。
そしてその後ヨーカンを心配し出てきたナルが、吸血鬼になっってしまったヨーカンの餌食になってしまう。

暗転
                          


少年達の食事は、1日50cc の水。狂ったように水を欲する少年達。(撮影:わたくし)




明りが入ると吸血鬼少年が増えたらしく4人になり、「くれ〜水をくれ〜!」と必死に水を求めている。
リタ(チュチュ男 : 矢車剣之介)とルゴシ(セムシ男 : 飴屋法水)が4人の吸血鬼の教育役らしい。
彼等は少年達に世界の吸血鬼について教えていた。少年達は全く分からないどころか十字架やニンニクさえも
恐れず、十字架を首にかけニンニクをかじり、吸血 = 蚊・ダニ・ノミと答える。
ルゴシとリタは少年達があまりにバカになので呆れてしまう。




"ファッツ・ニュー・プシー・キャット"の音楽が流れる。
ある日、ワルプルギスはルゴシから鍵を奪って外に逃げると、帽子を被った2人の少年
(棚橋ナッツと越美晴)に出会う。
そして片方の少年を襲ったワルプルギスは突然飛び退き、喉を掻きむしり転げ回る。訳がわからない。
そこへ、探しに来たリタとココにワルプルが「あいつ……女だ!」
        (撮影:わたくし)

少年と思っていた少女(ワーミー)はワルプルを指差し、高い少女の声で「兄さん……あたし、あたし…
あの子の…ハートが欲しい。あの子の心臓が…欲しい‼︎‼︎」兄は催眠術をかけられたように
ワルプルに襲いかかろうとするが、ココがステッキで兄の顔をめった叩きにし、兄は失明する。


(この写真は演劇の休憩時間に行われる。トイレなどに
行ってしまった客は見逃してしまう。客の暇つぶし用と
して、飴屋法水氏の意地悪な幕間。)


      (撮影:わたくし)

10分間の休憩。客はトイレに行ったりお喋りをしている。そこにワーミーと兄が幕の前に現れる。
兄は派手なセンスの悪いコーディネートの服を着て白いステッキを持っている。
「兄さん、今日は良いお天気なの。兄さんはメクラだから見えないだろうけど」兄「………」
「だからね、今日は兄さんにとってもオシャレさせてあげたわ。兄さんの好きなダークブルーの
ネクタイ(嘘)に白いシャツ(嘘)と黒いベルト(嘘)、ズボンもカッコいいわ。メクラでもカッコよくしないとね」
そしてワーミーは兄さんを残して去ってしまう。どこまでも兄さんをバカにした妹である。
-暗転-

                  (撮影:わたくし)                         ↑増殖初期の心臓(三上晴子作)
そして舞台中央にワルプルギスが金属のベッドに横たわり、体から出された血管だらけの心臓が中に
浮いている。4人の少年達はワルプルに新しい血を輸血するために、外へ出て人を襲っていたが、
どうやらあの中国人も吸血鬼になったらしい。
少年達はワルプルギスの側でゴム管を加えワルプルギスに飲ませ、新しい血と入れ替える試みをする。
ココは皆にワーミーと兄を探し出して連れて来るように命じる。

                
ワルプルがは苦しそうに寝言を言い絶叫し昏睡状態になる。
そこへワーミーがどこからか入ってきてワルプルを見つめている。
ワーミーはなぜか背中に柱時計を背負い、クイとカナヅチを持っている。
そしてクイをワルプルの胸に当て「約束どおり来たわ。今すぐ助けてあげるからね」
と言ってカナヅチでクイを叩くとワルプルが「痛え!」と目を覚ました。

ワーミー慌ててカナヅチとクイを後ろに隠す。「お前今何を隠した!」とワルプルギス。
「あ、これは、ただのカナヅチ」「もうかたっぽは?」「え、ううんと………クイ」

ワーミーはサササと後ろへ下り「心臓だけよ、君はいらないから」と言うと
「おい、俺と心臓を分けて考えるなよ」とワルプルギス。「代わりはちゃんと持って来たの、
ほらこの柱時計。ちゃんと鳴るんだから。子猫はね、時計を側に置くと心臓の音に聞こえるから
スヤスヤ眠るのよ」ワーミーは突然ワルプルの心臓をつかみ、心臓と話をしだす。
ワーミーが話し出すと心臓がドックンと返事をする。ワーミーの首からワルプルの心臓に
1本のケーブルが通りワーミーの血を欲しいと訴えていた。「やめろ!畜生、勝手に返事するな〜!」
暗転
             (撮影:わたくし)

照明が入ると吸血少年達が雑談しながらワルプルギスをからかっている。
ワルプルはうなされながらワーミーの名を呼んでいる。
     (撮影:わたくし)

ココはもう一つ新しい棺を持って来させる。棺に書いてあるのはゲシュタポ。
ステッキで蓋を強く叩くと中からゲシュタボ(大橋二郎)が現れる。
とても臭いゲシュタボはネズミの肉で作られていて眼球もひとつだけ、声帯も作れなかったので
「ガ〜〜」としか言えない。脳もネズミなので知能指数はゼロ。
しかし闘争本能、敏捷性に優れた歩く兵器だと言うココ。
そしてワーミーの兄を連れて来させると、献血にご協力して下さいとゲシュタボの棺に入れ蓋を閉じる。
中からは激しい悲鳴と物音、蓋がバンバンと持ち上がり、棺の下からは血がポタポタと流れ落ち、
少年達はフラスコに集め出す。残った地は少年達とゲシュタボがムシャぶりつく。


  (撮影:わたくし)






-暗転-
(音楽 マルセリーノの唄)


白い布のかかったテーブルの上の料理が並べられ、ココとワーミーが座っている。
少女は歌を歌っている。ワーミーはココに勧められ果物をひとつだけ取る。
ワーミーが赤が好きだと言ったので、喜んでワイングラスに赤ワインを注いだが、
ワーミーはそれがワインで無い事に気付いた。ココは言う「それはあなたのお兄様の血液です。
え?お兄様ですか?ほらあそこに30匹程ネズミが肉をついばんでいるでしょう?
あれがお兄様の最後のひとかけら。あんなに小さくなっちゃって、まあもともと大きい人じゃ
なかったけどねえ、はっはっは。ネズミは餓死寸前になると一斉に馬乗りになって、
一番下で窒息したやつが餌になり生き延びるんです。お兄様もあなたもネズミです」







そこへゲシュタポ達がワルプルギスを連れて入ってくる。
ココはワルプルギスが血を飲む事をとことん拒否したために元の屍に戻る事を提案する。
それにはワーミーの血を飲むか、ゲシュタポに食わせるか。
ワルプルはゲシュタポに食われるなら、せめて自分の心臓だけワーミーにくれてやってくれと言うが、
ココは「絶対にやだ」と答える。




ワルプルが「ワーミーッ‼︎ そんならオレはおめぇの血を吸うぞ!いいかっ⁈」ワーミーは何度もうなづく。
そしてココが聞く「最後に言い残す事はあるか?」
「じゃあひとつだけ。この世界とやらを動かしてんのは、どこのどいつだ?あんたか?違う?じゃあ誰だ!
答えろ!なぜオレを作った?答えろ〜〜‼︎」答えないココにワルプルギスは笑う。
「じゃあワーミー、いくぞ‼︎」と言って苦しみ ながらワーミーを噛み続ける。
  そして暗転。

照明が入るとベッドにワルプルギスが横たわり、胸から突き破った巨大な物が宙に浮いている。
皆、呆然とそれを見つめている。ワーミーは床に横たわっている。ワルプルギスが言う。
「ココの旦那がオレを呼んでいる。オレの足元にはさっきまで暖かかったワーミーが転がっている。
オレの上のバカみてえに膨れ上がった心臓にワーミーと名前をつけよう。
どうやらオレはこのまま生き続けるようだ。よう、ココの旦那、オレとあんたはこのようにして
もう一度出会い、このようにして、始まるんだ‼︎」


























巨大な心臓から霧のような血が部屋中に吹き上がる。少年達は機械的な動きをしながら心臓を手で押さえる。
ワルプルギスはいつまでも、いつまでも笑い続ける。
            

                    -暗転-   END

      (撮影:わたくし)                        エンディングに出演者全員が舞台に勢揃いし挨拶。
ワーミー(コシミハル)の背後にあるのが、三上晴子の製作したアートや、ワルプルギスの巨大化した心臓。






                             鉄の棺や舞台全体に、三上晴子さんのアートがあふれていた。






                                                                          コシミハル(左)と武井龍秀(右)
               


ありがとうございました。Keiko Olds (ケイコ・オールズ) ツイッター @misopichopo